昨日、東京で行われたアンキロスインプラントのユーザーの先生方の勉強会に参加してきました。9月に行われた同勉強会で症例報告をさせていただいたのですが、今回は他の先生方の症例を見てきました。アンキロスインプラントは現在主流になりつつあるプラットフォームシフティングを25年も前から採用されています。非常にインプラント周囲炎になりにくいインプラントなのですが、被せ物を作るときに、癖のあるインプラントなので慣れていなければ非常に扱いにくいインプランです。よく患者さんから「そんなにいいインプラントならなぜ多くの医院が採用していないのですか?」と聞かれます。お答えするのは「非常にインプラントの中でも玄人向けのインプランです。慣れていないと扱いにくいのです。」とお答えします。
いまインプラントの土台はカスタムで作るのが主流になっています。アンキロスはインプラント体が特殊な構造をしているため、現在はまだカスタムの土台が作れません。そのため、インプラント手術もテクニックが要りますし、被せ物もテクニックが要ります。非常に扱いにくいのです。
アンキロスインプラントは他のインプラントにない土台があります。それはシンコーンです。現在、被せ物の装着方法の主流はセメント仮着やネジ留めです。シンコーンはセメントもネジも使わずに被せ物を固定することができます。患者さんご自身で取り外すことが出来たり、医院側で簡単に取り外すことが出来たりとメンテナンスに適しています。
若いときは被せ物で対応し、歳をとって他の部分の歯も少なくなってきたらシンコーンで対応し、自分で上部構造を取り外せなくなったらマグネットで対応することが出来ます。近年、インプラントが介護の現場で対応が難しいとの声が上がっています。ブラッシングが出来なく最悪インプラントを撤去してほしいとの声もあるようです。その場合もアンキロスの場合は土台のネジをはずして小さなネジを付け替えるだけです。インプラント埋入時の手術方法が特殊なのでネジの交換だけで対応できます。
このようにアンキロスインプラントはさまざまなお口の変化に対応できるインプラントです。非常に技術が要りますし、扱い方が特殊なので、他のユーザーの先生方との意見交換が欠かせません。現在は多くのインプラントメーカーがあり、消えていってます。そんな中25年も基本的な構造がかわらず、なくならないインプラントは非常にまれです。
インプラントの手術をして、どのインプラントを入れられたか分からず、お口の環境の変化に対応できないときはどうなるのでしょうか?
土台が対応できないので変更したいけれども、メーカーがつぶれてしまったりすることがあるかも知れません。一度入れると撤去しない限りインプラントは変更できません。アンキロスインプラントは非常にテクニックセンシティブなインプラントですが、扱い方が分かれば非常に有利なインプラントです。それぞれのインプラントの利点、欠点を聞いてご自身にとって良い選択をしてください。